【ネバークラウドTRPGシナリオ「サヴァン的アイドル症候群」】
kardia(かるでぃあ)です。今日は久しぶりにシナリオ作ったから公開するよ。
(この記事は私立彩音学園様著作の同人TRPGシステム「ネバークラウドTRPG」の自作シナリオとなります。本家様とは一切合切関係ないです)
後、例によって文体とか形式は整えてないです。見にくくてゴメンな……
・シナリオ概要
☆PLの人数:3人。
☆捜査の回数:1回
☆戦闘の回数:1回
☆物語の傾向:アイドル物……なのか?
・今回予告
星空を纏って、空を掬う憧れに願う少女がいた。
廻る運命の歯車を彩る5色のアルストロメリアを抱いて。
荒れ狂う仮初の迷光は透明だった自分を何者にも変えてくれる。
いや、変えてくれてた。
いつからか、ステージに、世界に染められた私は”私”だったのか?
それは私ではなく、”ワタシ”だったのでは?
自分を見失った人間は、どこまでも闇に堕ちていく。
ネバークラウドTRPG「サヴァン的アイドル症候群」
虹色の空も、今は灰に。架空と現実が巻き乱れる瞬間《いま》で、僕らは。
・Pコトノハ
白のアネモネ(期待)
ヤグルマソウ(繊細)
フェンネル(称賛)
ルピナス(空想)
ペンタス(願い事)※ルルブ未記載
シーン1「Rolling star」
ある年の初夏。キミたちはいつものように呼び出されていた。
部屋の中ではクリスタルなテーブルから、CRグラス越しにアイドルの映像が流れている。キミたちはそのアイドルを知っていても知らなくてもいいが、世間一般的に見ればそのアイドルは無名寄りだろう。
この映像は退屈凌ぎに流されているだけだろうか? それとも、今回の依頼に関係があるのだろうか。
そう思案していると、誰かがドアをノックする。
「失礼しまーす……って、もう全員いるじゃん」
入ってきたのは、キミたちも御存知であろう花澤 E子と、可愛らしい10代半ばぐらいの女の娘だ。……誰だろうか?
「あ、えっとね、この娘は今回のクライアントである人気急上昇中(当社比)アイドルユニット『ルルディ:コード』の1人の――」
「――えっと、菅沼 るるです」
「任務の内容は彼女から話してもらいながら説明していきましょうか」
――菅沼 るるの話によれば、ターゲットは同じユニットのセンターである『成海 まゆ』らしい。
いつの日かからだろうか。彼女は少し前から何かに怯え、何かを祓うように、何かに叫んでいたらしい。別段、彼女は統合失調症とかなワケではない。そういう癖があったりするワケでもない。それは日に日に強くなり、ついにはプロデューサーとの打ち合わせ中に発生し、暴れだしたそうな。おかげでプロデューサーは病院に行った(全治2週間)そして、その日の夜、彼女は失踪した。後日、調査によりピーターに囚われていた可能性が指摘された。だから、こちらまで話が回ってきたらしい。
「そうですねー。特にルルディのセンターである成海ちゃんは最近にわかに人気が出始め、それによりユニットの露出が増えてきて、菅沼ちゃんやもう一人のユニットメンバーである『八巻 かな』ちゃんを引っ張って行かなきゃならない責任感とか色々あったんでしょうねぇ」
「そうそう、ルルディと言えば1stミニアルバムの『START→DaSH』がホントに名盤で、特にトラック03の『晴れ咲き-sunset sky edition』がマイナーながらとても名曲で、特装版付属のライブ映像でのMCも見るともうホッッッントエモくて――」
「は、花澤さん……」菅沼 るるが(ちょっと引き気味に)彼女の袖を引っ張る。
「……あ、そうだね。それで、キミたちにはピーターを倒し、成海ちゃんを取り戻すこと! そしてぇ! 調査のついでに成海ちゃんが失踪した2日後からレッスンにも何も来なくなった八巻ちゃんを連れ戻すこと!」
「以上ッッッ!! じゃあ、車と同担拒否の怖いお兄さんお姉さんに気をつけて行こうかあ!!」
〆
以降、少し適当にRP.ドルオタ気味のE子とるるが応答してくれる。
Q.ルルディ:コードってどんなアイドルー?
A.CRグラスをフルに活かした新時代的V系チックなゴシックアイドル。実際にセンターでない2人は楽器を演奏し、センターはCRグラスの機能を活かしエフェクトを鳴らしたりと演技だけでなく音楽面にも力を入れている。作詞は3人でやっており、作曲編曲は外部委託。
Q.E子はなんでドルオタ気味になってたのー?
A.趣味探しの一環
Q.以降、NPCのアドリブRPはどんな感じにすればいいのー?
A.フィーリングでやっていいです。お前が信じるお前を信じろ。
リサーチシーン(シーン2)「泪の街」
JR秋葉原駅を出る。場所的にUDX前だ。貰った資料によると、ターゲット――正確にはターゲットたちだが――活動場所は秋葉原、池袋、渋谷、新宿など賑わっているとこが中心的だった。ライブスタジオなどが多いからだろう。
ターゲットは既に数日前から行方をくらましている。時間はそんなに無いだろう。
――決意を胸に探索せよ。
セカイを変える歌にネガエ。灰色でも焔を燃やせば、希望が聞こえる《バベルシティ・グレイス》だろう?
以降、リサーチ。2サイクル。5枚。
・リサーチカードA:成海 まゆの部屋
[表]
難易度:簡単/目標値5
バフ:全ての{エネミーアーツ}の{威力ロール}+10
情景描写:プロダクションの寮だ。同じ寮に住まう人から聞けば、普段の彼女は品行方正とも言える程出来ていた人間だったが、ある日から追い込まれたかのように焦燥し、目の下にも濃く隈が出来ていたらしい。
入った彼女の部屋の中は、酷く荒れていた。
[裏]
Pコトノハ:ヤグルマソウ(繊細)
情景描写:アイツは私だったのか? ワタシは私ではなく、私の中に住まう化け物なだけだろうか? 今までアイドルであった私は私ではなくワタシだったのではないだろうか。ワタシが問いかける。私の体を受け渡せと。ワタシが嘯く。私の力はワタシであったのだと。違う、違う、違うんだ――ッ!
幻影に向かい包丁を突き立てる。刹那、溢れ出たのは白い羽毛だった。
・リサーチカードB:ルルディ:コード所属の事務所
[表]
難易度:簡単/目標値5
バフ:全ての{エネミーアーツ}の{威力ロール}+10
情景描写:事務所は狭い。説明をすると、受付の人はすんなりとキミ、或いはキミたちを通してくれる。中は少し散らかっていた。話によると、まだ小さいプロダクションらしく、主力であったルルディ:コードが現状急に活動停止になったおかげでバタついているのだと。
壁は、様々なアイドルや公演のポスターで彩られていた。
[裏]
Pコトノハ:白のアネモネ(期待)
情景描写:スカウトされたあの日が走馬灯のように流れ込む。養成所から飛び出て、招かれたあの日が。陽が灰を侵食したあの日が。それは、大きな間違いだったのではないだろうか。あの日こそが、私《ワタシ》をこうしてしまった全ての元凶なんだ。引き裂きたい現実、改変したい過去。あの日は、徐々に闇に染まり逝く。
「俺と一緒にアイドル、やりませんか――」
・リサーチカードC:新宿タワーレコード
[表]
難易度:普通/目標値6
バフ:全ての{エネミーアーツ}の{命中値}+1
情景描写:新宿にあるCDショップ。知らない人はまぁ居ない気がする。もう何年も経営されている。様々なジャンル、様々なアーティストのCDがキレイに並べれており、新人の宣伝にも協力的だ。実際、ルルディ:コードもデビュー仕立ての頃からここにお世話になっているらしい。因みにE子オススメのCDはシドの2ndアルバムであるhikari――データはここまでで、徐々にムダなところが削除されていってる……
[裏]
Pコトノハ:フェンネル(称賛)
情景描写:色んな人に初めて出逢ったキッカケ。ファンのみんな、業界の人。記念すべき大きな一歩だった。でも、その一歩はとても痛かった。センターである重圧、これからへの責任。気にしてないはずが、いつの間にか気にしてた。それはワタシを産んでしまった原因の一つだったのかもしれない。
CDを落とした。FRAGMENT、それは心か、翼か。
・リサーチカードD:Zepp Diver City Tokyo
[表]
難易度:普通/目標値6
バフ:全ての{エネミーアーツ}の{命中値}+1
情景描写:お台場付近に建っている由緒正しきライブハウス。資料にやると、近々ルルディの3人はここでライブを演る予定だったらしいが、その話が頓挫しかけているらしい。ここでライブをすることはアーティストにとって大きな経験となると思うが、どうなんだろう。海風が髪を靡く。潮の匂いが、雨の降る臭いと混じり、不安を煽るだろうか。
[裏]
Pコトノハ:ルピナス(空想)
情景描写:話が決まって初めてここのステージに下見で立った時、すごく感動した。同時に怯えた。1000(スタンディングだと2000)人入るここでライブするんだって。地下ライブスタジオでも、小さめのスタジオでもない、こんな大きなスタジオで。不意に、空っぽである客席の真ん中に誰かが座る。それは幼い頃の自分で、音楽に憧れを抱いていた頃の自分だった。懐かしいな。そう思っていると、不意にそれは白く蠢き、ワタシに変わった。嗤っているのか? 恐怖に怯える私を。私は逃げ出した。ここから、過去から、現在《いま》から。
・リサーチカードE:八巻 かな
[表]
難易度:困難/目標値8
バフ:再行動アーツのサイクルごとの使用回数+1
情景描写:JR池袋駅から歩いて、外れた裏路地。そこに彼女は居た。
「――誰だ、アンタ……」
窶れ果てたように見える彼女が、『八巻 かな』だろうか。
[裏]
Pコトノハ:ペンタス(願い事)
情景描写:私は2人を引っ張っていかなければならない。私はセンターで有る故に2人に抜かされてはいけない。2人に、2人に、2人に――
「なあ、成海はそれでいいのかよ?! あたしは、アンタに憧れて――」
その憧れは私ではなくワタシだ。このままでは顔向けできない……
私は全てを投げ出そうと逃げ出した。
「……アイツのいないルルディ:コードなんて、ユニットの意味がないだろ……」
虚空に呟く。それは、自分に言い聞かせて、彼女に言い聞かせて、消えたアンタに言い聞かせて。
(全てリサーチ或いはサイクル終了)
――ピピッ。E子から連絡が入る。
「ターゲットの居場所、判明しましたあ! 場所は――新宿に有るビルの屋上…………飛び降り自殺でもする気なのお?!」
劈くような声が聞こえてくる。そして更に怒号が入る。
「花澤ァ! 次余計なコト言ってみろぉ! お前を突き落とす――」
そこまで聞こえて、通信を切った。耳と脳がやられそうだから。
……取り敢えず、急ごう! 残された時間は少ないだろうから――
ラストパイル(シーン3)「花葬」
階段を駆け上がりドアを蹴破る。そこには、首がもう一つ生えた人間が立っていた。彼女が、ターゲットの成海 まゆであろう。
彼女であろう首は項垂れ意識を失い、彼女ではないピーターであろう首は白く、白目が黒で、口も黒。オサレな漫画に出てくる内なる自分みたいな見た目だ。
不気味に思っていると、ピーターが口を開く。
「……私、死にたがってたんだよなぁ。こんなにもリスカしちゃって、アイドルは体が資本なのに」
ピーターはターゲットの体を操り人形のように糸を引いて動かし、キミたちに見せる。確かに腕は切り傷だらけで、なんなら刺し傷も見える。
「嗤っちゃうよねぇ。こんないい体持ってるのに。少女と大人の曖昧な一番熟れた年齢なのに。だから、ワタシが私を動かす。私がちゃんとアイドルできるように。だから、帰りなよ。チケットならあげるよ。ワタシは、私が望む私を演じてあげようとしてるだけなんだぜ?」
あざ笑うようにピーターは喋る。ヤツの言うことは正しいのか? 否、違う。綺麗事は綺麗事かもしれない。だから、ソレを現実にすべくキミたちは居るんだろう? なら――
(ここでPCたちの決意表明)
「――ふん、そうかよ。……なら――死んでもらおうかな」
ターゲットの体からピーターが完全に分離する。白のキャンパスに黒の線を入れたかのようなヤツが、殺気を放ってくる――
昇華、開始!
戦闘(シーン4)「乱舞のメロディ」
●エネミーデータ
・属性:才
・悩み:私は本当に私のままアイドルができてるだろうか?
・パラメータ:
//PR=1
//HP=800+({PR}×200)
//行動力=2+{PR}
・回避判定:2D
・行動指針:ストーカー
・アーツ:《ダブルHit》《ツーウェイHit》《チャージBuF》《フィアーDBuF》《ループ02》《AoE:格子型》
●戦場データ
・ビルの屋上。エンカウントシートは「校庭」を使用する。
エンディング(シーン5)「シャイノグラフィ」
キミたちの一撃で白いピーターは羽根となって塵となって消えて行く。残ったのは倒れたターゲットだけ……。
気づけば、灰色だった空から少しだけ陽の光が漏れ出している。いつかの日のように、曇った心を光で晴らしてくれているんだ。彼女の心を。きっと、そうだろう――
後日、キミたちは招待されてルルディ:コードのZepp Diver City Tokyoのライブに来ていた。控室に呼ばれると、そこには元気になった『成海 まゆ』と2人が立っていた。
「皆さん、本当にありがとうございました――」
(雑にRPして〆)
……以上、そんな感じの短めのシナリオです。本来このシナリオ、1日で初心者にルールのインストをし尚ネバクラの楽しさを知ってもらおうというコンセプトで作ったシナリオとなっています。なんというか、拡張サプリであるねばくらミニに載ってるシナリオみたいになっております。
戦闘で敗退した時の描写は考えてないのですが、ヤられそうなところを他のウェンディが助けに来てなんとなるけど成海 まゆを救うことはできなかったよという感じの想定です。
エンディングはなんか適当にいい感じなこと喋らせて〆てください。
後、分かると思いますがシーンのタイトル名はそれぞれ曲名となっています。
「Rolling star/YUI」
「泪の街/長靴をはいた猫」
「花葬/L'Arc~en~Ciel」
「乱舞のメロディ/シド」
「シャイノグラフィ/シャイニーカラーズ」
どれもいい曲だから聴こうね!
このシナリオ、それなりにクセが無いシナリオだと思うので回しやすいと思います。やりたいけどPLが見つかんない、PLとしてやりたいって人は私に相談してね! では!
(文・kardia ゴールデンボンバー「水商売をやめてくれないか」を聴きながら)
0コメント